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痛みについて考えるブログ

痛み改善のヒントをお伝えしていきます

ストレッチをより効果的にするための基礎知識

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ストレッチは固まった筋肉を伸ばすために行いますが、他にもストレッチには血液循環を高める効果心身をリラックスさせる効果筋力アップの効果もあります。私は普段、姿勢や痛み改善目的にストレッチを指導していますが、より効果的に結果がでるためにもストレッチへの理解を深めてもらう必要があります。

筋肉の構造

ストレッチを理解するには、まず筋肉の構造を理解しましょう。筋肉はたくさんの繊維が束になってできています。1つの筋原線維が多数集まって筋線維を作り、筋線維が集まって筋線維束を作り、さらに筋線維束が集まって筋肉になります。

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最小単位の筋原線維をさらに拡大すると、太いミオシン線維とそれを挟むように細いアクチン線維があります。この太いミオシン線維の間に細いアクチン線維が滑り込むことで筋肉が収縮します。太いミオシン線維からはたくさん突起が付いていて、細いアクチン線維に結びついています。

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筋肉が弛緩している状態

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筋肉が収縮している状態

筋肉が硬くなっている状態とは?

筋肉が硬くなっている状態とは、力が入ったまま筋肉が収縮している状態です。筋肉の収縮が続くと血管が圧迫され血流も悪くなり栄養が届かずにさらに筋肉が硬くなる悪循環が生じます。

例えば、猫背の姿勢では胸側の筋肉が短縮して力が入っている状態ですが、背中側の筋肉は伸ばされており筋力が低下しています。この猫背姿勢を治すには胸側の筋肉をストレッチし、反対に背中側の筋肉は鍛えなければいけません。

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胸側の筋肉と背中側の筋肉は拮抗しています。胸側の筋肉にとって背中側の筋肉は拮抗筋であり、反対に背中側の筋肉にとって胸側の筋肉は拮抗筋となります。人間のからだはとても良くできていて、一方の筋肉が収縮する時は拮抗筋が弛緩するという作用があります。これは相反抑制という反射です。

反射について

筋肉は神経に支配されていて、腕を動かす時は脳から脊髄、さらに末梢神経が指令を伝達することで筋肉が動きます。しかし反射は、受けた刺激が脳を介さないで直接筋肉に反応となって伝わります。

生物学で言う反射(はんしゃ、英reflex or spinal reflex)とは、動物の生理作用のうち、特定の刺激に対する反応として意識される事なく起こるものを指す。普通、反射という言葉を使う対象は意識の存在が(曖昧にではあっても)確かめられる脊椎動物に限られる。たとえば昆虫が光に集まる、ゾウリムシが水面近くに集まるというような走性は反射と呼ばない。ヒトの反射でもっともよく知られたものに、膝蓋腱を叩くと下腿が跳ね上がる膝蓋腱反射、屈筋反射がある。(Wikipedia

ストレッチを理解するには①伸張反射 ②I b抑制(自己抑制)③Ia抑制(相反抑制)の3つの反射の原理について知る必要があります。

①伸長反射

急激に筋肉を伸ばすと、伸ばされた刺激が脊髄内の運動神経に伝わり筋収縮が起こります。脚気検査の時に膝の腱をたたくとピクッ!とするあれです。ストレッチをする場合は伸張反射が起こらないようゆっくり伸ばすようにしましょう。

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②Ⅰb抑制(自己抑制)

筋肉が極度に伸ばされた時、筋肉が断裂しないよう保護するために腱紡錘が興奮してⅠb線維という神経を介すことで筋肉が弛緩する反射です。ストレッチをすると筋肉が緩む理由はこの原理を用いているからです。

③Ⅰa抑制(相反抑制)

伸張反射により筋収縮が起こりやすいように、同時に拮抗筋が弛緩する反射です。

例えば肘を曲げる動作をするとします。肘を曲げるのには上腕二頭筋が収縮しますが、同時に肘を伸ばす上腕三頭筋が弛緩します。もし肘を曲げる時に上腕三頭筋が働いてしまうと肘はスムーズに曲がりません。このようにお互いが反射的に連動し合い、上手にからだを動かす仕組みが備わっています。

筋力アップ効果

ストレッチで筋肉が伸ばされると筋肉内にある筋紡錘という受容器も伸ばされます。するとⅠa 感覚線維という感覚神経が反応して脊髄に刺激が伝わります。脊髄内でα 運動線維という運動神経に刺激が伝わり、筋肉を収縮させるように働きます。

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ストレッチを繰り返すことで筋肉に繰り返し収縮が起こり、筋力を改善する効果があると考えられています。

ストレッチの基本方法

Ⅰb抑制(自己抑制)を利用した方法

ストレッチで筋を弛緩させるには、伸長反射を誘発しないようにIb抑制を利用した静的ストレッチが効果的です。静的ストレッチとはゆっくりと筋を伸張させる方法です。

20秒~120秒の間反動はつけずに静止した状態を維持します。反動をつけてやると伸張反射が起こり、余計に筋肉に緊張が入ってしまいます。なお、10秒ではあまり効果がないとする文献が見られます。60秒以上では長く感じられるため、続けられない方がいるかと思いますので、20~30秒を3セット実施するのが理想です。

ストレッチの強度は「痛気持ちいい」がベストです。無理やり伸ばそうとして痛みがあるのに一生懸命筋肉を伸ばそうとする方がいますが、返って逆効果です。強すぎるストレッチは逆に筋緊張を強めてしまいます。ストレッチの頻度は毎日行う事が理想ですが、効果を出すには、1週間あたり最低2回は実施する必要があります。

Ⅰa抑制(相反抑制)を利用した方法

ある筋肉を収縮させると拮抗筋が弛緩します。このストレッチをダイナミックストレッチといいます。例えば、股関節を外に広げる筋肉(中殿筋)を鍛えると股関節を閉じる筋肉(内転筋)が弛緩します。また背中側の筋肉(僧帽筋など)を鍛えると、胸側の筋肉(大胸筋など)が弛緩します。緩めたい筋肉と拮抗する働きの筋肉を鍛えることでストレッチされます。ダイナミックストレッチを行うには解剖学の知識が必要なので専門家に指導してもらうのが良いでしょう。

いつストレッチをするのが効果的か?

入浴中、もしくは入浴後が効果的です。身体が温かくなり血流が良い状態で行うことでより効果的と言われています。身体が温まった後、筋の伸張性が増すからです。

ストレッチをしてはいけない場合

捻挫、骨折、筋・腱断裂、ぎっくり腰の急性期や脳血管障害の急性期はストレッチは適応禁忌です。関節を痛めてすぐの場合は基本的には安静です。

筋肉痛の場合はストレッチをすることで血流が良くなり回復が早くなります。運動をした後はしっかりストレッチをしてからだのケアをしておきましょう。

 

ストレッチは継続して行う事が大事です。

すぐには効果はでないですが、根気よく続けていきましょう。