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膝の痛みにサプリメントは効くのか?

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膝の痛みにサプリメントは効くのか?と質問されました。膝の痛みに悩まれている方にとってはすごく魅力的な宣伝をしていますよね。この疑問について解説していきます。

 

膝の痛みにサプリメントは効くのか?【効果は否定的】

現状、はっきりと効果が証明されていません。グルコサミンやコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸サプリメントが膝痛に効くと宣伝されていますが、効果があるとする研究結果と、効果が無かったとする研究結果があります。が、相対的に否定的な意見が多いようにみられます。サプリメントを利用している人の体験談で効くという人もいれば効かないという人もいます。

 

グルコサミン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸がなぜ膝に良いと言われているのかそれぞれの特徴を調べ、実際に効果があるのかどうかを総合的に判断してみました。

ちなみにサプリメントで効くと言われている膝の痛みとは変形性膝関節症のことです。

 

変形性膝関節症による痛みの原因【軟骨の破壊により起こる】

 変形性膝関節症の痛みは膝の軟骨がすり減ることで起こります。軟骨がすり減る理由は、遺伝や事故などの怪我によることもありますが、多くはO脚になることで膝の内側に荷重が偏ることで起こります。膝の痛みに効くと宣伝されているサプリメントは膝の軟骨を改善すると説明しています。

 

軟骨は水分とコラーゲン線維とプロテオグリカンからできていて、プロテオグリカンはボトルブラシのような構造をしており水分を含みやすい構造となっています。

プロテオグリカンはグリコサミノグリカンGAG)とタンパク質からできており、さらにGAGはコンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸・ヘパラン硫酸・ケタラン硫酸からできています。コンドロイチン硫酸の成分にグルコサミンが含まれています。

 

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各栄養素の特徴

市販されているサプリメントにはグルコサミン・コンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸がありますが、どれも軟骨に含まれている成分です。それぞれどんな特徴があるのか見ていきましょう。 

グルコサミン

グルコサミンはグルコースブドウ糖)から合成されるアミノ酸の一種です。グルコサミンからコンドロイチン硫酸、さらにグリコサミノグリカンが合成されます。グリコサミノグリカンはタンパク質と結合してプロテオグリカンとなり、コラーゲン線維と水分から軟骨ができています。グルコサミンのサプリメントを経口摂取した場合、グルコサミンの形で吸収されずにグルコースに分解・消化吸収されてしまい、グルコサミンとして軟骨に向かうことがないのです。

 結局、糖分をとっているだけ…?

 コンドロイチン硫酸

グリコサミノグリカンに存在する物質です。水分を含んでいて弾力性があり、皮膚・粘膜・軟骨・脳などに含まれています。脳では神経線維の再生を阻害する因子の他に、脳機能の可塑性に関係すると言われています。

 変形性膝関節症に対する経口摂取ではあまり効果がないという報告が多いです。経口摂取ではやはりそのまま吸収されず単糖類に分解されてしまいます。 

ヒアルロン酸

眼・皮膚・腱・筋肉・軟骨・血管・脳などに存在しており、粘性が強く細胞同士の結びつきに関係します。美容にも使われていますが、やはり経口摂取では単糖に分解・吸収されてしまい、肌がキレイになるという効果も考えにくいとのことです。経口摂取でその栄養が都合よく肌にいったり膝の軟骨にいったりすることもないでしょう。

 サプリメントは糖類に分解され吸収される

これらサプリメントを経口摂取することによって単糖類に分解・消化吸収されるため、膝の軟骨の再生には関与しないと考えられます。ただ糖分を摂っているということになりますね。ヒアルロン酸サプリメントを摂取して、仮にそのままヒアルロン酸の形で吸収されたとしても、ピンポイントで膝の悪いところに向かうかというとそれも考えにくいです。ヒアルロン酸は体のいたるところに必要とされているので膝の軟骨の再生に使われるとは限りません。

 

実際にサプリメントで効果があるという人はプラセボ効果によるものも考えられます。プラセボ効果とは思い込みのことです。思い込みの効果は馬鹿にできなくて、薬の研究では実際に薬を与えるグループ、プラセボグループ(薬に似た形のもの)、何も与えないグループで比較して実験します。薬を与えるグループとプラセボグループでの効果に有意差があればその薬は有効と判断できるのです。

 

サプリメントが効果があったとする研究論文では、製薬会社が絡んでいたりするものもあったりするので、信ぴょう性が低いのも事実です。実験の前提条件を変えると結果は変えられます。

 

また、炎症がいったん収まれば痛みは寛解するため、サプリメントを飲んだ頃に治まったのかもしれません。ただ、一時的に痛みが落ち着いている状態なので、負担のかかる姿勢や歩き方が直らない限りは痛みが再発します。とにかく科学的な根拠が少ないので、膝の痛みがあってもサプリメントを摂るメリットは無いように感じます。それよりも膝に負担がかかる歩き方や姿勢を直していくことが肝心だと思います。

近年、再生医療が進歩していますが、たとえ軟骨が再生したとしても、歩き方や姿勢が悪いとまた膝に負担がかかり軟骨の破壊は進んでいきます。原因を根本的に改善するという考え方が非常に大事になっていきます。